トピック02
DRAMについて
DRAMは簡単に述べると、データの読み書きが出来る半導体素子のことです。ただ
し、一定の時間が過ぎるとそのデータは消失し、新たなデータを扱えるようにしま
す。これをセルフリフレッシュと言います。反対にSRAMはデータの記憶が出来るもの
です。しかし、DRAMの方が安価で集積度向上が容易なため、汎用メモリーとしてPCに
使われています。
原材料はシリコンウェファーで、これに回路形成、配線をし、コンデンサ、抵抗な
どを埋め込みます。そしてシリコン基板上に部品配置されたものを、樹脂で固めた
(パッケージ)したものがDRAMチップです。
シリコンは地球上で最も多く存在する物質の1つですが、これを平面の基板にして、
半導体素子として使用できるまでにするには高い技術が必要となります。特にシリコ
ン基板を完全な平面にする技術、そして、そのシリコン基板に不純物が入らないよう
にする技術などが重要です。
≪DRAMの製造工程の概略≫
1)シリコン基板に化学反応を利用して、絶縁層と伝導層を作る。
2)シリコン基板に露光装置を使って回路パターンを転写形成。
3)シリコン基板をエッチング。(化学反応を利用し、1)の工程で形成された各層
の中で電極形成に必要な部分だけ表に出します。)
4)電極形成、回路形成を行う。
5)コンデンサ、抵抗を組み込む。
6)シリコン基板をチップ状にカット。
7)チップをリードフレームに載せ、ワイヤーボンディング(ハンダ付け)を行う。
8)チップを樹脂封止する。
9)チップを検査する。
DRAMメーカーとそのパッケージング技術(シリコンチップの封止技術)
DRAMは80年代は日本半導体メーカーのお家芸でしたが、近年は価格競争に敗れ、東
芝、三菱のようにDRAMより撤退するか、NEC、日立の合弁会社、エルピーダのように
業界再編を迫られています。代わって韓国、台湾などのDRAMメーカーが台頭していま
す。これはDRAMが、業界標準としてその製造技術が広く認知されるようになり、製造
装置さえ購入すれば
技術的にはDRAM製造が行えるようになったからです。
≪主なDRAMメーカー≫
日本:現在エルピーダのみ
台湾:Nanya, Mosel Vitelic, Winbond
韓国:Samsung, Hynics
米国:Micron
欧州:Infenion
**しかし、日本唯一のDRAMメーカーであったエルピーダにも最近、インテルの資本が
入りました。インテルは昔、価格競争の激しいDRAMから撤退し、利益率の高いプロ
セッサなどに特化しました。(このインテルの大英断は有名です。)しかし、エル
ピーへの資本参加でインテルのDRAM業界での今後の動きに注目です。
≪DRAMチップのパッケージング技術≫
DRAMにはファーストページや EDO、そしてここ数年はSDRAM、今後はDDRが主力になり
ます。DRAMのデータ処理速度が向上するにつれて、DRAMのパッケージング(封止技
術)も様々なものが出てきました。
●TSOP(Thin Small Outline Package):
半田付けの足が横にはえているものです。
●STSOP ( Shrink TSOP):
TSOPを、その集積度は変えずに、パッケージ技術の向上に
より面積を縮小したものです。(ノートPC用メモリーに使われます。)
●CSP ( Chip Size Package):
DRAMはシリコン基板に部品を載せそれをパッケージする
ことで面積が大きくなってしまいますが、このパッケージの仕方を工夫して、最終的
なチップのサイズを、もとのシリコンチップのサイズに限りなく近づけたパッケージ
技術をCSPといいます。BGA(Ball Grid Array=半田付けの足がチップ底面にあり、さ
らにそれがボール状に配列されている。)はこのCSPの範疇になります。
DRAMの市場
DRAM市場には大きく分けて2つあります。
1)コントラクト市場
大手DRAMメーカーとPCメーカーなどとの間で取り交わされる大口の正式契約価格で
す。それほど変動はしません。
2)スポット市場
何らかの理由で1)のシステムに乗らなかったDRAMが流通市場に流れ、それが業者
間の取引きで価格形成されるものです。大きく変動します。
スポット市場形成の理由のひとつは、大手DRAMメーカーは常にコントラクト市場です
べてのDRAM在庫を消化できるとは限らないからです。DRAMに限らず半導体は装置産業
ですので、一度生産計画を決定しライン稼動させれば、その変更は容易ではなく、
「作り続ける必要」があります。あるタイミングで稼働率を変更したら、それがアウ
トプットととして実際に供給量に反映するのは数週間、または数ヶ月後と言われま
す。その間に価格は変動しますので、事実上、DRAMメーカー自体が市場に応じてフレ
キシブルに生産量を調整するのは困難です。
コントラクト市場の価格を決定する際に、スポット市場の価格を参考にすることが時
にあります。よって両者の主従の関係は曖昧になりました。
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